隣接している喫茶店に入ると ヤスと向かいに座り

 黙り込んでいるがいた




 「ヤス 悪い」

 「別にいいけどさ。北山さん、あまり困らせちゃ駄目だよ

 だいぶ彼女落ち着いたからちゃんと話しなね」

 「ホント悪い・・」


 そう言うと ヤスは席を立つ

 「ちゃんの分は俺が払っておくけど、自分の分は・・・・」

 「分かってるよ」

 「そ?(笑)それじゃ俺、戻るけどちゃんもう大丈夫だよね?」

 「忙しいのに本当にごめんなさい」

 ニッコリ笑うと “いいのいいの”と手を振ってスタジオへ戻って行った




 それから2人を沈黙が襲い

 1〜2分という時間が息苦しく長くさえ感じる


 先に口火を切ったのは彼女からだった

 「今朝は 本当にごめんなさい。勝手に鳴った電話を取ろうとして」

 「・・・・・・」

 「まだ怒ってるの?」

 不安げに俺を見る彼女の顔が 今にも泣き出しそうにも見えた

 「・・・は・・」

 「え?」

 「は他人が自分の携帯を見られるのって嫌じゃないんだね?」

 「嫌だよ」


 何の躊躇いもなく彼女はそう答えた

 「勝手に他人が自分の携帯を見られるのはホント最低」


 意外だな・・・いやいや、そんな事じゃなくて


 「じゃ、だったらなん・・・」

 「私 陽一にとって他人なの?」


 真面目な顔で見つめている

 その返答にどう返せばいいのか言葉に詰まっていると


 「そっかぁ、私にとって陽一は他人じゃなくても 

 陽一にとっては私って他人かぁ」


 「え・・・あ いや、そういう意味じゃなくてさ」

 「いいの、今までありがとうね。楽しかった」


 “それじゃ”と言うと席を立ち店から出て行ってしまい

 取り残された俺はしばらく座った座席から立ち上がれずにいた



 なんだよ

 他人な訳ないだろ・・・