2ヵ月後 桜の花もほころび始めていた3月の末

無事 私達は卒業式を迎えていた

親も進路が決まった私に一安心したらしく

両親揃って 式典に参加していた


「じゃあ 今日は帰ったら卒業祝いでなんか旨い物でも食うか?」

「あれ、。今日 確か用事あったのよね?」

お母さんが 数ヶ月前に話していたことを覚えていたらしく

思い出したように私に話しかけた


「あー、うん ちょっと寄るところがあるんだ」

「なんだお前 折角のお祝い事なのに。俺達だけで食いに行くぞ」

「てっちゃん(汗)」

「おい !置いていくぞ」

「主人公がいない卒業祝いしたって つまらないだけでしょ・・・」

「いいんじゃない?美味しいもの食べに行ってきなよ。

私 何か買って帰るから」

「じゃ、用事早く済んだら連絡頂戴。早く済んだらお店に来なさいよ」

「そうだね(笑)そうする」


両親と高校の入り口で別れ 私は約束だった場所へ足を運ばせた





いないと分かってても 思い出の場所にきちんと行って

思い出と一緒にお別れしてこなきゃ

何事もケジメだよね?(笑)





夕方 静まり返った学校の裏側にあるウサギ小屋

今ではウサギは別の場所へ移されていて

小屋はあるものの 物置小屋に姿を変えていた


「そっか・・・ウサギここじゃなくなっちゃったんだ」

小さなフェンスを握り締めて 気持ちの整理をつけようと思っていた

その時 




後ろから足音








まさか 春先だし・・・痴漢?・・





実はこの地域 痴漢多発地域でよく痴漢が出没していた

まー裏の公園にしても木に覆われてたし

いや、そんな暢気な事言ってる場合じゃなくて



「大通りまで逃げなきゃ・・・・」







抜け道を頭の中で考えていると





?」

「なんで痴漢が私の名前知ってるのよ!!」

「俺が痴漢(笑)?」


あー笑い始めちゃった。

て ゆーか痴漢がこんなに笑い転げること自体おかしいよね(汗)

もう暗くてよく見えない



ゆっくり近づく


その笑う影の正体















「センセ?なんでここに」

「だって 約束してたじゃん」

事も無げに 笑いながら言ってるけど

「ほら 婚約者の人と結婚するんじゃ・・・」

「あいつだろ?だから連絡してたのに全然出ねーんだもん」

「・・・だって もう会うなとか言われたし。」

大きなため息をついて 「ちょっと座ろうか?」と

小屋の前にあった石の椅子に2人腰掛けた



「まず 最初に何から話そうか・・・」

すっかり暗くなった空を見上げて 静かな声で話し出した

「お前が会ったって言ってた女の人は 確かに結婚まで考えてた人」

「・・・・」

「だけどね、お前と台風の日に会う数ヶ月前に別れてたんだよ」

「なんでそこまで考えてた人と別れたの?」


そこまでちゃんと考えてた人だったら 何が理由で別れなきゃいけないんだろう


「ほら 俺、学校もそうだけど学校外での仕事も増えてきてて

なかなかあの子と会う機会がめっきりなくなっちゃったんだよね。

そんな時『私と仕事どっちが大事なのよ』って掴みかかられちゃって」

「あー・・そんな感じだった。私に話してた時も」


思い出しながら 苦笑してると


「そうなると『あー駄目だな』って思っちゃったんだよね。それで別れたんだけど

たまたま 11月に高校時代の同窓会・・・あいつとは高校時代からの付き合いだったんだ。

その同窓会で久しぶりに 会った時に俺の携帯をどうも見たらしいんだよ。

それでお前の番号からなんか調べさせたらしくて」


信じられなかった。

逆に背筋がゾッとする思いでもあった・・・

「携帯・・・代えよ」

先生は笑いながら

「いや、もう大丈夫だと思うよ」

「なんで?」

「結局は 向こうが勝手に思い込んでたらしい。

ちゃんと別れた理由も説明もしたし、その後にお前と会ったんだって

言ったんだ。『でも』 って言ったから『俺はお前とやり直す気持ちは

と別れたとしても微塵もないから』って」


理由は飲み込めたけれど

それじゃ、先生もしかしてその事を言うためにずっと待ってたの?


「だから 終わる時間とかも分からなかったからさ

お昼くらいからずっと待ってた」

「お昼って今 6時前だよ。何時間待って・・」

「さぁ、何時間だろ?(笑)4時間以上は待ってたかもね?」


それだけの為に4時間も待ってたなんて

やっと今日 思い出と一緒にケジメつけて諦めようと思っていたのに


「それでさ、あの日の約束覚えてる?」

聞かれ 静かに頷く

「じゃあ、改めて言うよ」

私の方に体を向けて 今までで見るよりも真剣な顔

思わず 自分も背筋を正して向き直す

「うん」

「色々あったけど、改めて俺と付き合ってもらえるかな?」