さっきまでの賑やかさが嘘のよう
車内は先生の好きな スティービー・ワンダーの曲が流れていた
私はサイドシートから外の様子を黙って眺めながら考えていた
今しか・・いや 今だから言うべきなんじゃないか?
きっと今 言わなかったらずっと後悔しそうな気がする
先生に好きな人がいても 元々駄目だと分かってるから
「センセ?」
「ん?」
「あのね、私 中学の2年生の時からずっと先生のこと好きだったんだ」
ちょっと照れ隠しで おどけながら告白した
自分ながらちょっと情けないけど
「・・・・・」
運転しながら ただ黙って先生は私の言うことに耳を傾けていた
「なんか ずっと言わないままの方が良かったかな?って思ってたんだけど、
でも・・・」
「知ってたよ」
え?!うそ・・・
「知ってたよって、いつから?!」
チラッとビックリしてる私の顔を見て クスッと笑うと
「お前が中3の時かな・・・国語の佐々木先生からね。ちょっと聞いてたんだ」
思い出すと ちょうど3年生になったばかりの頃
国語で島崎藤村の「初恋」という詩を読んだとき
『とても気持ちがこもっていて良かったよ』
と、妙な褒め方をされた記憶があったのを思い出した
まり先生気が付いてたんだ(汗)
なんだか 告白して気が楽になった分
知っていたという事を聞かされて 恥ずかしいやら
情けないやら なんとも複雑な気持ちが渦巻いていた
そんな少々頭の中がパニック状態だった時
車はまだ家の近くではなかったけど路肩に寄せ停車した
「」
突然声がかかり ビックリして先生の方を見る
父親以外で名前を呼ぶ異性は 北山先生だけだった
中学時代も卒業生の女の子を名前で呼んでいた場面を何度か
見たことがあって 私だけ『特別』ではなかったけど
在校生では当時 呼んでくれていたのは私だけだったのが
ちょっと嬉しかったりもした
「な、なに?」
「あのさ・・・」
「うん?」
「お前が学校卒業した時、まだ俺のこと好きだったら」
「・・・・」
言葉なんて出てこなかった
ただ黙って先生の方を見る
「好きだったらさ、卒業式終わったら中学校のウサギ小屋覚えてるか?」
「うん 覚えてる。誰も面倒見ないから 友達何人かで世話してたからね」
3年の先生達に『受験勉強しろ!!』って怒られながら(笑)
「あそこに 卒業式終わった日に改めてにちゃんと付き合おうって言うよ」
好きだったら・・・って 嫌いになるわけないじゃん
あの時よりも ずっとずっと好きなのに
嬉しくて涙ぐんでいた私の肩をそっと抱いてくれた
先生とは あの後携帯の番号とアドレスをお互い教え 自宅近くまで送ってもらった
そして会う約束とは別にもうひとつ約束
まだ高校生のうちは 会うのもやめようと
確かに進学か就職か迷っているし
『きちんと進路を決めて高校を卒業してからでも遅くないでしょ?』
と先生から・・・


