陽一くんのお母さんにも「久しぶりに上がっていきなさいよ」
と言われ そのまますっかりお邪魔することに
階段を数段のぼった所で
「お母さんには 連絡しておいたからゆっくりしていってね」
と声がした
おばさん・・・はやっ(汗)
「お邪魔します」
「適当に座ってて、今 お茶もらってくるから」
部屋に通されて 見渡すと優の部屋とは大違いで
壁に貼られているポスターも海外の有名サッカー選手ではなく
ポスターサイズの写真
どこかの旅行に行ったときのかな?
他にも自分で撮った写真と思われるものが
何枚かフォトフレームに飾られていた
「お待たせ、写真見てたの?」
お茶を2組お盆に乗せて陽一くんが戻ってきた
「うん、これ自分で撮ったの?」
「全部じゃないけどね。フレームに入ってるのは半分くらい自分で撮ったんだ」
「この写真好きだな」
「家族で旅行に行ったときに撮ったんだよ。もし良かったらそれあげるよ」
棚からそれを取るとフォトフレームごと私に手渡した
「え、でも・・・」
「いいよ、また焼き増しすればいいんだし。それ見て元気出して」
「ありがとう」
受けとったフォトフレームごと手持ちのハンカチに包み
カバンにしまうと 近くにあったクッションに腰掛けた
「それで、仕事・・・なんかあったの?」
「あったっていうか・・」
今の仕事での不満や
辞めようかと思っている事を全部話した。
「でも、辞めたところでその先になにかやりたいって事がまだ見つからなくて
そんなに簡単に辞めるのはちょっと・・・ね(笑)」
「でも 自分の存在価値を見出せない今の職場を辞めて 気持ちをリセットさせてみる
のもひとつの方法じゃないかな?気持ちの問題だと思うけど、そこから自分にしか
できない『何か』が見つかるかもしれないよ?」
「気持ちをリセット・・・か」
そんな事考えもしなかった 幸いにも自営のペットショップの仕事がある
それまでは手伝いをしながら先の事を考えるのもひとつの方法なのかな
「なんだか陽一くんに話してよかった。先のこともう少しよく考えてみる事にする」
「大した事言ってないけど、何かきっかけになれて良かったよ」
「全然 優に相談しようかなって思ってたんだけど落ち着いて話できなくて(笑)
なんでこうも違うんだろ?」
そう言うと笑いながら
「姉弟だから照れちゃってなかなか話ができないんじゃない?
それに『やめて ど・どーするんだよ?』とか何とか言い出しそうだしね(笑)」
「そうなんだよね、たまにちゃんと話聞きなさいよって思うときあるし」
再びお茶が入ったカップを口に付けると 思い出したようにクスッと笑ってしまった
「?どうしたの?」
「なんだか陽一くんと話してると年下って感じに思えなくって(笑)
私のほうがお姉さんなんだからしっかりしないといけないのにね・・・」
「・・・年下って埜絵瑠さんにとって恋愛対象外?」
いきなりトーンダウンする彼の声
「え?」
「俺じゃ 埜絵瑠さんにとって恋愛の対象にはならないかな?」
そう言うと 突然抱きしめられた
「な、何・・冗談・・だよね?」
突然の事態に動揺していると
「すぐに返事くれなくてもいい。でも 弟の幼馴染みとしてしか見れないなら
断っても構わないんだ。ただ、これは冗談じゃなくて真面目に埜絵瑠さんに気持ち伝えたくて」
「そう・・・なんだ。ごめん、少し時間くれるかな?今、仕事の事とかで気持ちの整理つかない」
「ごめん、こんな風に告白するつもりじゃなかったんだけど。
年下って男として見てもらえないのかなって思って」
まっすぐに見つめるその瞳に私は気後れしてしまうほどの衝撃を受けた
すぐには返事できる訳がなかった
だって・・・


