午後になると 仕事前に深羽ちゃんが飼い猫の餌を買いにやって来ていた。

トリミングの方も予約で数件入っていた程度でお客の入りも珍しく少く

今日は予約客が引いたらお店を閉めようと 

いつもより1時間早く閉店の準備をする。



「今日も黒沢さんとこ?」

店内の掃除をしながら優に聞いてみる。


「うん、行くよー。」

「そう、・・私も一緒にご飯行くから」

そう言うと 優は【珍しい】とでもいった感じで驚いた顔をしている。


「ちょっとその後、出掛けるとこあるから優は先に帰っててね」

「?うん、分かった・・・けど、かあさん知ってるの?」

「さっき話しておいたから それは大丈夫」

「ふぅーん、じゃあ支度できたらいこ?」

片付けも手早く済まし、2人は居酒屋へと向かう。





お店に行くと、黒沢さん達も「珍しいね」と言いつつ

優はビールも一緒に頼み 軽めの食事を済ませる




時計を見ると 針は約束の時間15分前

会計は優に任せて、約束の改札へ



5分前に着いた時には既に彼は来ていて

私に気が付くと 軽く手をあげた



「ごめんね。時間、大丈夫だった?」

「それは大丈夫、今日は予約のお客様以外はそんなに混まなかったしね」

「それなら良かった。ちょっと教えたい場所があったからね」

「近所じゃないの?」

「うん、6つ位先の駅なんだけどね」


笑顔でそう言うと 私達は改札を入り目的の駅へ向かう

丁度 通勤帰りの時間帯もあって人が多く、電車が揺れた瞬間 

体勢を崩した私を陽一くんにグッと肩を掴まれ自分の方に引き寄せた


「大丈夫?」

「う、うん なんとか。ありがと・・・」

「俺に掴まっていいから」



・・・でも 向かい合わせの状態

手の持って行き所に困ってしまい

俯いたまま 私を抱き寄せている腕にぎこちなく掴まっていた