自宅へ戻る時に陽一くんが袋から何かゴソゴソと取り出し
私に「はい」と手渡された
「ん、なに?」
「よく聞いてるアルバムなんだけど良かったら聞いてみて?」
CDを受け取ると持っていたカバンにしまう
そして彼らはまだ何か話があるようで
私は先に自宅へ戻った
「そういえば」
自室に戻ってから
カバンの中から貸してもらったアルバムを取り出し
ケースを開けジャケットを取り出した
『ジャズのコンピアルバム?へぇ、こういうの聴いてるんだ』
CDをデッキに入れ ジャケットをケースにしまう時、床に何か落ちた
拾い上げると小さな紙に走り書きしたような数字たちと一言
≪090-****-**** 遅くなってからで構わないから電話して≫
「これって、電話かけるべき?」
しばらく悩んだ結果 携帯を手に取り掛けてみる
数コール後
『はい』
「あ、えっと・・のえるです」
掛けてみたものの さっきまで彼等と一緒にいたのに今更「こんばんは」なんて
あまりにも白々しい。
『早速、あのCD聴いてくれてるんだ』
「陽一くんてジャズ好きなんだ。あまりジャズって聴いた事なかったけど
聴いてると落ち着くしいいね」
『良かった。ここ最近まともに話す機会もなかったし、さっきも何かあったのかなって
ちょっと気になったから。イライラした時とかあのアルバム聴いてると俺も気持ちの波が
落ち着くからさ。音楽の趣味とか聞いた事なかったからどうかなって思ってたんだ』
この後もここ最近の近況を話したり なんでもない事をお互い話していたけれど
あの告白の事には彼は一切触れなかった
電話を切った後もCDを聴きながら 冷静な頭で考えていた
自分にとって今 大切な事は何なのか・・・・