病院へ着いてからは しばらく一緒に来ていた皆と待っていたが

店のほうでも皆が心配しているし 深羽はきっと心配で仕事どころじゃねぇな



「それじゃ 俺そろそろ帰るわ。どのみち皆 店に来るんだろ?」


深羽も一緒に来ると言ったが、まぁそこら辺は 大丈夫でしょうと

とりあえず適当な理由をつけて彼女をそこに留まらせ

会計で呼ばれた埜絵瑠ちゃん達と出口途中まで歩いた。


「そうだ ヤスの容態が分かったら携帯に連絡してくれないか?

みんな心配してると思うし」

「あぁ そうだね。うん、分かったら電話するよ」

「ホント忙しいところすみませんでした」

「いんや 大丈夫よ。丁度 北山の家に行く途中だったから。

足、大したことないといいね」

「ありがとうございます。」


病院の入り口で2人と別れ俺は店に戻った












「遅くなりました」

店に入ると既に皆は集まっていて 沙羅ちゃん達が深羽の代わりにあれやこれやと

手伝いをしてくれていた。

「おかえり。大変だったな」

黒ぽんが料理を盛り付けている手を止め 店の入り口にいる俺に声をかけた

「あー・・・えぇ まぁ。でも 詳細分かったら北山が連絡くれる事になってるんで

とりあえず戻ってきたんですわ」

「そうだね。病院に人数多くいてもしょうがないしね。」

「じゃ、俺 支度してきますよ」


本来ならば今日は休みなのだが うちの商店街サッカーチームご一同様がご来店。

まぁ ヤスの一件もあるのでどうなったのか様子も気になっているのが正直なところ

なのだが。




「ささ、あとの手伝いは俺がやるから沙羅ちゃんも倉貫さんも鈴音さんとこのテーブル

に行った行った」

「沙羅ちゃん達 ホント助かったよ。ありがとうね」

黒ぽんは彼女らに礼を言い 2人分のご飯を盆に乗せ それを手渡した








「疲れちゃったでしょ?手伝ってくれてありがとうね」


彼女らの座るテーブルへお茶とジュースを持っていく

「ううん、大丈夫ですよ。酒井さんこそ 今日は忙しかったんですし・・・

何かあったら言ってくださいね。私達手伝いますから」

と 答える笑顔にちょっとドキッとした。





いかんいかん 彼女は高校生よ?しっかりしろ俺








「おい 酒井ー」

ビール片手に 俺が座っている席の隣にやけながらどかりと座ってきた

「なんだい、酔っ払い」

「おまっ・・・酔っ払いって何だよ。折角てっちゃんが相談役になってやろうってのにぃ」

「相談役?・・何の事だよ?」



さっぱり分からん

そんな俺の様子をじっと見てニヤリとしながら


「お前 あの子の子と気になるんじゃねーかなーって思ってさ」


そう言うと飲みかけのビールをぐいっと飲み干した



俺は何でもないように装い 手持ちのグラスを眺めながら

「そういう風に見えますかね?」

「見えるっつーか、やっぱ気になんの?」



やはりそれは『装っているつもり』だった事はお見通しらしい



「ほらでも・・・」

「”でも”、なんだよ。はっきり言えよ」

「10歳も年齢違うじゃないっすか。10歳も年齢が上のおじさんなんて

相手になんかって思うと好きになっていいのかどうか」



正直に今の自分の気持ちを打ち明けると

さっきまで茶化していた大将も真面目な顔で


「気になんのは年齢だけなのかよ」

「え?」

「大事なのは『今の自分の好きだという気持ち』じゃねーのかよって言ってんの

ウジウジ年齢差とか言ってねーでちゃんと相手に自分の気持ち伝えてみろよ。

うちにもよく来るけど小夜ちゃん ちゃんとお前の話は聞いてくれると思うぞ」


返事も何も言い返すことができずに 

ただじっとグラスを見てると焦れた様子で


「ったくよ。そんなだから彼女の1人も作れねーんだよ(笑)」

「うるさいよ。余計なお世話だ」

「告白じゃなくてもいいからよ。一度ちゃんと話してからでも遅くないんじゃねぇか?

自分の気持ち固めるの」


そう言って俺の肩をポンと叩いた



まぁ 確かにそうだな・・・・

一度 ちゃんと彼女と話をしてみよう

それからだってまだ遅くはない




そんな機会がすぐ目の前にあるとも知らず

大将と酒を酌み交わしていた