


店に行けば 既に黒ぽんは仕込みに入っていて
深羽はまだ来てる様子もなかった
「あれ、まだ深羽来てないんだ」
「お、ユージ。多分ヤスのトコ寄ってくるんじゃない?」
「あー、まぁこの時間で来てなかったらそうだな。
じゃあ 店の中と外掃除してから仕込み手伝うよ」
そういうと エプロンを付け作業開始
深羽も慌てながら 走ってきた頃には店の中も外も掃除は既に終わっていて
遅れたことを謝ると仕込みの手伝いをし始めた
店の開店時間からほどなく ヤスと埜絵瑠さんがやって来た
「おう ヤス・・埜絵瑠ちゃん珍しいじゃん。いらっしゃい」
「おや、今日は来るの早いな」
別の客へ注文の品を運びながら言うと
どうも お客さんが早めに引けたらしい
なるほど、しかし黒ぽんも言ってたが
埜絵瑠さんまで来るのは珍しい
まぁ 用事でもあるんだろうな
しかし、あの携帯どうしたものか・・・・
「そうだ、酒井さん」
黒ぽんの料理を食べながら思い出したようにヤスが声をかけてきた
「はいよ」
「今度の試合さ、来れないの?」
「あー、すまんな。その日 朝から用事あって帰ってくるのが昼過ぎになりそう
なんだわ。早めに帰れたら応援しに行ってやるよ(笑)」
「そっかー、じゃあ期待しないで待ってる(笑)」
そういうと業務中なのもあって 必要以上に声は掛けてこなかった
その後 大将(村上の事をそう呼んでる)らも加わり
日曜日の試合の事で打ち合わせをしながら どうも黒ぽんに色恋沙汰の話を
持ちかけてクダまいてやがる(汗)
鈴音さんも まぁ大変だ
時計も1時をまわる頃 まだ悩み相談に乗っている黒ぽんが
食器を片付けたり ビールの空き瓶を片付けている俺らに
こっそり話しかけてきた
「2人とも 1時過ぎたら帰っていいよ(汗)長くなりそうだから」
黒ぽんにそう言われ お言葉に甘えて俺達は帰り支度を
「深羽、途中まで送っていくよ」
「ホント?ボディーガードね(笑)」
「まぁ、取りあえずはな。心細くはないだろ」
「ありがと。それじゃ 黒ぽん てっちゃんおやすみなさーい」
「はいよ。酒井に襲われるなよ〜」
「あんたじゃないんだから」
そうして 俺達は店を出た
日中の暖かさとはうって変わって少々肌寒さを感じながら商店街の通りを歩く
「ねぇ、ユージさん」
小さな声で 深羽が声を掛けてきた
「ん、なんだい?」
「あのさ・・・・、ヤスって好きな人がいるか聞いてる?」
「は、ヤス?いやー、そんな話聞いたことねぇな」
「そっか、それならいいんだ。ごめんね 変なこと聞いて」
いまいち 深羽からの突然の質問に合点いかない様子に気が付いたのか
「あのさ、誰にも言わないで欲しいんだけど・・・ヤスの事好きなんだ」
呟くように 照れくさそうに俺にして打ち明けた
「そういうことか、いや しかしヤスはホントに聞いてないよ」
その後も 彼女の恋愛相談は道すがら聞いていたが
なるほどねぇ、そう言われてみりゃヤスと話してる時楽しそうだったな・・・
「それでね 今度の日曜日に沙羅ちゃん達と黒ぽんのお店借りて
ヤス達のお昼作っていこうと思ってるんだけど」
「いいかもな、喜ぶんじゃねぇか?」
「ホント?そう思う??」
あーそんな嬉しそうな顔しちゃって
青春だねぇ・・・・
その後 駅近くの陸橋で 別れ自宅に戻ると我が家の家族がお出迎え
「にゃぁ」
「よしよし、いい子にしてたか?」
部屋着に着替えようと ジャケットを脱ごうとした時に片方のポケットの重量感で
ある事を思い出した
「あ・・・携帯(汗)いいか、明日交番に持っていこ」