「お待たせ。これで良かったかな?」

ベルモットカシスだよと 言いながら手前に置く

「陽一くんのは?」

「俺?俺はウォッカギムレット。埜絵瑠ちゃんとは逆でアルコール強いけど

スッキリした感じかな。・・・一口飲んでみる?」


差し出され 一口飲んでみるが

「ちょっと・・・これキツイ」

「でしょ?」

と 笑いながらグラスを自分の方に戻す

気がつけば店内には静かに ジャズが流れ出していた



時には2人黙って 音楽に耳を傾け

時には音楽をBGMにくだらない話をしながら

流れる時間を楽しんでいた



気がつけば そのカクテルも3杯目を飲み終える頃

私の様子がおかしい事に 陽一くんが気がつく



「だ、大丈夫?埜絵瑠ちゃん顔赤いよ。ヤスからあまり飲まないって聞いてたけど

そこまでお酒弱いって思ってなかったから・・・」


かぁっと赤くなっている私の顔を見て慌てて 陽一くんは謝る


「え・・と、ち・・違うの」

私も慌てて 手を振る

「違うって?どうしたの」

心配そうに 私の顔を覗き込んだ


「返事・・・まだしてなかったな・・って」

それだけ言うと 何事か察したらしく

「いや、いいんだよ。色々あったみたいだし、返事は遅くても・・・

なかった事にしても構わないんだから」


「ううん、それじゃいけないよ。お互いに中途半端な状態じゃ苦しいだけだしね。

だから・・・だから・・ちゃんと言わなきゃ」

「その前に 酔い覚ましに近くの川原にちょっと行ってみようか?

そこでちゃんと話聞くよ」



そうして一度 2人は店を出て

近くの川原まで 無言でゆっくりと道のりを歩いていった