まだ日中の暑さが残る夕暮れ時
忙しい合間をぬってかけてきた彼からの携帯
「 これから会えねぇか?」
「へ?今から?」
「ちょっと時間取れたから会えないかと思ってさもし駄目ならまた今度にすっけど・・・・」
「あたし、まだ駄目って言ってないじゃん」
「それじゃあさ、おまえんちの駐車場で待っててくれよ。そこで拾うから」
「分かった。それじゃあ支度できたら下に行って待ってる」
彼からの電話を切り早速、支度に取りかかる
さてと、最近会ってもどちらかの家にいることが多かったし
ここ1年位の間に元々忙しかった仕事が更に忙しくなっちゃって
前に比べて外に出て遊びに行く事って少なくなっちゃったもんね
「まっ・・・誰かに見られたら帰ればいいか」
ぼんやりそんな事を考えながら地下駐車場で待っていると
見慣れた車が私の前で止まる
「よっ、待ったか?」
「ううん、そんなに待ってないよ」
「そうか、それじゃ行きますか」
そのまま車は私が住んでいるマンションを出た
「ねぇてつ、どこに連れて行ってくれるの?」
「あ?あぁ・・・いいとこ」
「どこよ、それ(笑)」
「まぁ、黙って乗ってなって」
『この人の性格からして、まさかそのままホテル行くんじゃないでしょうね?(汗)』
ちょっと不安を残しつつ車は高速へ・・・・
『最近あんま外出してないもんな・・・たまにはサービスしてやんないと』
そんな村上の想いもあり、
雑誌でたまたま読んでいたスポットにどうしてもを連れて行きたかったので
レコーディングの空き時間を使ってを誘ったのだ
「どう?仕事は。今も仕事中じゃなかったの?」
「ああ、そうだよ」
「え?!『そうだよ』って・・・・。駄目じゃん!」
「だから言っただろ?時間取れたって。
俺の番って最後なんだよ、まだ5〜6時間はかかるんじゃねぇの?」
「だからってさ・・・休んでなきゃ」
「俺と逢えて嬉しくないの?」
「へ?そりゃ嬉しいけどさぁ・・・」
「じゃ、いいじゃん。俺、に逢いたかったからさ」
「・・・もぉ〜・・・」
「いいのいいの。たまにはな(笑)」
「でもさ・・・高速乗っちゃって。本当にどこに行くの?」
「ん?軽井沢(はぁと)」
・・・・へっ?かっ軽井沢?軽井沢って・・・・
「ね、ね。本当に何しに行くの??」
「しゃあねぇな。にさ、いいもん見せてやるよ」
「いいもの?」
「そっ。あとは見てのお楽しみっちゅう事で」
そのまま車は一路、軽井沢へ
上信越自動車道の軽井沢インターを降りてからもしばらく車を走らせて
私の目に見えてくるのは・・・・・
「え・・・こ・ここ?」
「そっ。ここ」
私が見つけた看板には
『ほたるの里』という文字
ちょっと恥ずかしそうにてつが口を開いた
村上「ほら、最近さお互いにどっちかの家にいること多かっただろ?
どこか連れて行こうって思ってたけどさ
どこ連れて行くにも人が多くてな」
「・・・うん、でも私はてつと一緒ならどこだって構わないよ」
「ありがとな。ほらっ、行くぞ」
テレながら私の手を取り水田近くのあぜ道に降りる
「あ・・・ホタル」
「こうやって見ると綺麗だな」
「うん」
流れる時間・・・・私はつないだ手を離す事なくそっとてつの傍に寄り添う
「この時期ならヘイケボタルだってさ」
「てつ、詳しいじゃん(笑)」
「雑誌のうけうり(笑)」
「・・・やっぱり(呆)」
あぜ道をゆっくり歩いていると、突然てつが立ち止まってしまった
「ん?てつ、どしたの?」
「な、なぁ。あのさ」
何か口ごもりつつ、視線を泳がせながら
「時期が時期だから、言おうかどうか迷ったんだけどよ」
「?」
「・・・・俺と結婚してくれねぇか?」
・・・・え?・・・てつ・・・今、なんて・・・?・・・
「てつ?・・今、なんて言ったの?」
「何度も言わせんなよ・・・結婚してくれって言ったの・・」
「・・・・てつ・・・かお・・あかいよ?」
「う、うっせぇな。で、返事はどうなんだよ?」
「あたしでいいの?」
「お前じゃないと駄目だから言ってるの!」
「・・・・うん・・・こちらこそお願いします」
「ほんとか?マジでいいの??」
黙って頷くと嬉しそうに微笑んでてつが抱きしめてくれた
静かな静かなあぜ道でホタルが見守る中
私たちの約束・・・・
「さてと、そろそろ戻るか?」
「大丈夫なの?仕事」
「あぁ、さっきメール見たら何か押してるみてぇだから。ちょっと遅れても平気だよ」
「でも・・・ね?そろそろ行かなくちゃ」
まだ、ちょっとここにいたいなっ・・て思うのは贅沢だよね?
でもあなたからの突然の小旅行とプロポーズ
ずっと忘れないよ

